IBM PowerサーバーとIAサーバーが混在するシステム群をストレージ装置を要に仮想化基盤へ集約 運用負荷の削減とBCP対策も容易な柔軟性の高いシステムを実現
企業名 | 株式会社 テイチクエンタテインメント 様 |
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業界・業種 | 情報・通信業 |
サービス:IBM Storwize V3700、FalconStor CDP
効果:混在するシステム群を仮想化基盤へ集約、柔軟性の高いシステムを実現
Before
- 個別最適によるシステム群の増加で運用が複雑化
- 特にテープによるバックアップに時間がかかり作業負荷が課題に
- システムが集約されておらずBCP対策の実施が困難
After
- IAサーバーをIBM Flex Systemに集約し、ストレージにIBM Storwize V3700を採用することでPowerサーバーと共有化
- バックアップをD2Dに移行しテープ運用を廃止 時間短縮と共に書き戻しも容易に
- 仮想化基盤に集約したことでデータセンターへの移行などBCP対策が容易なシステムに
ハードウェア、OSの保守期限切れを機にプラットフォーム刷新に着手
テイチクエンタテインメントは音楽、映像コンテンツの企画、制作と販売を行なっている。大きな分類でいえば製造業の一種とも言えるが、制作しているものがコンテンツであり、ビジネスに細かな権利処理を伴うところが大きな特徴だと株式会社 テイチクエンタテインメント 取締役 経営企画部 経理部 法務部 デジタルマーケティング担当の浅野 浩二氏は説明する。
「制作したものを一度使って終わりではないというところが大きいですね。一度CDやダウンロード販売された楽曲を、ベストアルバムやコンピュレーションなどの一部として再収録することがあります。そのため、制作したものが蓄積し続けていきます」
作詞、作曲、歌唱に原盤権と、それぞれの作品と関連する権利者の情報を正確に管理する必要があり、ITシステムへの依存度は高い。もちろん他の多くの企業同様、経理や総務、人事など企業継続に必要な様々な業務においてもITシステムは欠かせない存在だ。そのITシステム群が老朽化し、リプレースの時期を迎えていた。
「ハードウェア、OSの保守期限が近づいたことから、大きな刷新を行なうことになりました。プラットフォームから新しくすれば、運用上の課題もいくつか解決できると期待しました」
株式会社 テイチクエンタテインメント デジタルマーケティング部 情報システムグループの西谷 英俊氏はそう語り、当時課題視されていたポイントについて教えてくれた。ひとつは、テープを使ったデータバックアップに時間がかかりすぎていたこと。バックアップ作業そのものにも書き戻しにも時間がかかっていたため、誤って削除した重要ファイルを探し出して復旧するだけで一苦労だったという。もうひとつはBCP対策が立ち遅れていたことだった。個別に最適な仕様で導入したシステム群は一元的なDR施策がとりづらく、根本的な解決を図るための基盤づくりが必要だった。様々な解決策を検討した結果、仮想化によりひとつのプラットフォームに集約するという最適解にたどりついたと、西谷氏は語る。
「それまでは8台のIA物理サーバーと基幹システム用のPowerサーバーを運用していましたが、仮想化すれば運用負荷と設置スペースを削減できます。また、仮想化してひとつのプラットフォームに集約すれば、BCP対策も容易になります」
IBM Storwize V3700を要とした最適な構成提案が決め手に
この新しいプラットフォームを構築するためのパートナーとして選ばれたのが、CSIソリューションズだ。他社の提案に比べて価格面で遜色なく、それでいて提案内容はテイチクエンタテインメントの要望を高いレベルで満たすものだった。
「CSIソリューションズさんとは以前からシステム構築などで取引があり、社内のシステムについて熟知されていたことも決め手のひとつですね。現状の課題を把握したうえで、細かなところにも目の行き届いた提案をしてくれました。今回のシステム実現の要となったストレージなどは、その好例ですね」
浅野氏が例に挙げたIBM Storwize V3700は、IAサーバーからもPowerサーバーからも利用できるストレージシステムだ。今回のようにIAサーバー群とPowerサーバーが混在するシステムを集約し、管理ポイントやバックアップポイントをまとめるために大きな効果をもたらす。拡張筐体を使えば240個までHDDを格納できる仕様になっているため、将来にわたって想定されるストレージ容量の拡大需要に対しても柔軟に対応可能な拡張性を備える。浅野氏はIBM Storwize V3700について次のように評価する。
「バックアップの運用負荷を減らす、BCP対策の容易なシステムにする、いずれの要望においてもストレージがシンプルになることは大きな効果をもたらします。IBM Storwize V3700は拡張が容易なため、統合により心配される容量不足の不安もありません」
組み合わせるPowerサーバーにはPower 720(IBM i)が、IAサーバーの仮想化基盤にはIBM Flex System x220(2014年10月よりレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ株式会社の製品)が選ばれ、実際の構築は2013年暮れから始まった。CSIソリューションズは進捗状況を確認する定例会で課題を共有し、解決策を提案するなど支援を行ってくれたと、西谷氏は当時を振り返る。
「課題に対して複数の解決策を提案してくれたうえで、判断材料や判断基準についても教えてもらえたので安心してプロジェクトを進めることができました」
日々の運用負荷を削減し将来に向けて第一歩を踏み出す
新環境への移行は、2014年3月。アプリケーション面での変更は加えられなかったため、変化に気付かない従業員がほとんどというほどスムーズな移行だったと株式会社 テイチクエンタテインメント デジタルマーケティング部の大橋 徹也氏は語る。
「社内向け業務システムは約180名が利用していますが、移行当日も普段と変わりなく稼動し、誰からのクレームもありませんでした。この規模のシステム再構築で問い合わせがないのは、移行が成功した証拠と言っていいでしょう」
変化の少なかったユーザー側とは違い、運用面では大きな負荷削減が実現されている。8台あったIA物理サーバーは、2台に集約され、管理ポイント自体が大きく減っている。さらにHyper-VのHA機能により障害対策が施され可用性も大幅に向上した。
バックアップはIAサーバーでは仮想化環境に強いFalconStor CDPを、PowerサーバーにはIBM iに対応したLaserVault Backupを採用することで、テープの運用を廃止している。これにより日々のバックアップに要する時間は大きく短縮されたと大橋氏は言う。
「以前と違い、今はバックアップを取っているという感覚がなくなるほど楽になりました。数ステップの操作で特定のファイルだけを書き戻せるので、誤操作で消してしまったファイルを復旧するのも簡単です」
今回のプラットフォーム移行により、システム全体が柔軟性を得たことも大きな成果だ。今後予定されているシステム全体の改善と最適化、さらにBCP対策の一歩となるデータセンターへの移行に向けて大きな進化を果たしたと西谷氏は語る。
「これまではシステム個別にしか最適化できませんでしたが、ひとつの仮想化基盤に集約したことで全社のシステムを見渡し、全体で最適化できるようになりました。また、BCPやDRの対策を考えやすくなったことから、次のステップの計画もこれから本格化していくでしょう」
テイチクエンタテインメントのシステム改善計画は、その第一歩で大きな成功を収めた。これからもさらなる改善を続けていくためのパートナーとして、CSIソリューションズへの期待は高まっている。
導入企業プロフィール
会社名 | 株式会社 テイチクエンタテインメント |
本社所在地 | 〒150-8516 東京都渋谷区神宮前6-27-8 京セラ原宿ビル6階 |
事業概要 | 音楽・映像ソフト等の企画・制作・販売とその他の関連業務 |
URL | https://www.teichiku.co.jp/ |
蓄音器およびレコードの製造販売を行なう「帝国蓄音器株式会社」として1934年に設立され、その後数度の改称を経て現在の社名である株式会社 テイチクエンタテインメントは生まれた。レコードからカセットテープ、CDと常に最新のメディアを取り入れ、現在はダウンロード販売も含めた多彩な形態で音楽ソフト、映像ソフトの製造と販売を行なっている。 |