CSIソリューションズでは、自社の働き方改革の実現に向けてリモートワーク制度を整備、合わせてクラウド型Web会議サービス「Zoom」を導入。これにより、業務の効率化やコストの削減が実現するとともに、リモートワーク時のコミュニケーションが円滑化された。今後はZoomの外販を通じて顧客の働き方改革も支援していく方針だ。
1989年の発足以来、顧客の課題解決とビジネス拡大に向けて、豊富な経験と高い技術力を活かし企画・提案から設計・構築、運用・保守に至るまでの一貫したサービスを提供してきたCSIソリューションズ。これまで同社はSCSKグループの総合力を背景に、中堅~大手企業を中心とした顧客に向けて、HCI(Hyper Converged Infrastructure)をはじめとしたITシステム基盤の構築などを行ってきた。近年は働き方改革に取り組む企業が増えていることから、さまざまなソリューションの提供を通じ、そのニーズに応えている。
同社自身もワークスタイルの変革に積極的で、2018年には「スマートワーク・チャレンジ」と名付けたリモートワーク制度を整備することを決めた。具体的には、在宅勤務やモバイル勤務、サテライトオフィス勤務を採用し、リモートワークの文化を定着させつつ、社員一人ひとりの意識の改革を進めるというものだ。しかしここで課題となったのが、リモートワークにおけるコミュニケーション手段であった。
場所はどうあれ、働いていれば同僚や顧客とコミュニケーションをとる必要が出てくる。遠隔地にいる以上、その手段はメールや電話に頼らざるを得ないが、文字や音声によるやり取りには限界がある。
また、社内の打ち合わせに同席できないことで情報が制限され、疎外感を覚える社員がいるかもしれない。
この種の課題の解決にはWeb会議の導入が効果的だが、既存のWeb会議システムは共有資料をアップロードした途端に音声が途切れたり、画面に表示されているテキストがずれたりするなど、品質が不安定だった。それゆえ、社員からは「ストレスがたまる」「会議に集中できない」といった不満の声が上がり、利用率は低迷。次第に利用されなくなっていった。当時について、経営企画本部 IT推進部長の大城賢治氏は「リモートワーク制度をスムーズにスタートさせるためにも、より使い勝手のいいWeb会議システムへのリプレースが必須と考えていました」と振り返る。
「育児や介護で在宅勤務をする社員や、外出先でモバイルワークをする社員も、皆リアルに近いコミュニケーションを求めていました。さらに、全社員が個々で利用するWeb会議システムには、思い立った時にすぐ利用できる気軽さも不可欠でした」と語るのは、大城氏とともにWeb会議システム導入を企画したビジネス開発本部 副本部長の小野寺榮二氏だ。
このころ、小野寺氏は米国初のクラウド型Web会議サービス「Zoom」に注目していた。ビジネスパートナーを訪問した際にZoomを紹介され、既存のWeb会議システムが抱える課題を解決できるのではないかと考えたのだ。
例えば既存のWeb会議システムでは、資料を共有する際にはサーバー側へデータをアップロードする必要があったが、Zoomは画面共有方式をとっているため、アップロードする必要がない。そのためアップロードの際の通信品質の低下が起きず、かつデータがサーバーに保存されないのでセキュリティ面も安心だ。また、ミーティングの開催数や累計時間、使用デバイスやバージョンなどの各種ログが自動で集計されるため、これらの数字を見ながらWeb会議を定着させるための各種施策を打つことができる。
「当社では全社的にVDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ)を導入しているのですが、VDIで利用できるWeb会議システムは限られており、製品選定における1つのハードルになっていました。試しにZoomでテストしたところ、VDIでも問題なく利用できることが確認できました。Zoomはネットワークへの負荷が少なく、デバイスも選ばないため、VDIとの相性も良いです。さらに、SCSKグループにおける利用基準やセキュリティ要件などもクリアしていましたので、これはと思い採用を提案しました」(小野寺氏)
こうして2018年12月、CSIソリューションズはリモートワーク制度のスタートと同時に、Zoomの利用を開始した。全社員150名が使えるようになっているが、コミュニケーション手段にWeb会議を使うという発想が定着しておらず、当初はなかなか利用者が増えなかったという。
そこで大城氏は2019年4月から5月にかけて、マネージャー向けに実践講座を開催。通信品質や使い勝手の良さが理解され、部会や課会などでの活用が増加した。
その後、利用率は右肩上がりとなり、運用開始から半年後には月単位での利用延べ時間が当初の7倍近くまで伸びている。
加えて大城氏は、テキストチャットやパソコンの遠隔操作、背景に好みの画像を表示させてプライバシーを守るバーチャル背景などの機能やWeb会議に参加する際のマナーを紹介する応用編の勉強会を実施した。
「Zoomは手軽に導入でき、誰でも簡単に利用できるWeb会議システムですが、その一方で、道具として使いこなすためには利用者自身がリテラシーを身に付ける必要があります。Zoomが持つ多くの機能の活用法を知ることはもちろんですが、会議へ途中参加する際にオーディオをオンにするタイミングや、ハウリングを起こさないコツといったマナーの教育が意外に重要だと感じています」(大城氏)
さらに、利用頻度のほかにも目に見える大きな成果があった。それが交通費と移動時間の削減である。
「ビジネス開発本部では、社内向けにソリューションの勉強会を定期的に開催していますが、Zoomの導入後は、東京・大阪・名古屋の3拠点をつないだWeb会議に切り替えました。これなら社外にいる者も拠点へ戻らずに参加できますし、時間がある時にスマートフォンから録画を見るというようなこともできるので、情報が平等に行き渡ります。加えて、以前は東京での会議のために大阪・名古屋からメンバーが出張してくることもありましたが、その必要がなくなったことで業務が効率化し、経費の削減にもつながっています」(小野寺氏)
「Zoomはアカウントを持っていなくても利用できるため、グループ各社や取引先の方にも会議に参加してもらえます。その方法もこちらからメールで送ったURLをクリックするだけですから、気軽にお願いできますし、移動時間の考慮が不要なのでスケジュールも調整しやすくなりました」(大城氏)
Zoomの導入により、会社の外からも手軽にミーティングへ参加できるようになったことで、本来の目的であったリモートワークの推進にも大きな効果が出ている。新たに整備したリモートワーク制度では、社員は誰でも月8回まで在宅勤務が利用でき、さらに育児や介護などの事情がある社員は月1回以上の出社といった勤務も可能になったが、多くの社員が自分のライフスタイルに合わせ、積極的にこの制度を活用しているという。
同社では、2019年4月にパートナー契約を締結し、Zoomの外販もスタートさせている。同社が得意とするVDIをはじめ、SCSKグループ全体でもIT環境で「ワークスタイル変革」を実現させるためのソリューションを豊富に取り扱っているが、その中でもZoomは、リモートワークのユーザビリティが高いため、運用面で問い合わせ対応の負荷が極端に低い。働き方改革に何から手を付けてよいか悩む企業にはお薦めのソリューションだ。
「容易に導入できて大きな効果が期待できるZoomは、働き方改革の最初の一歩として最適のツールだと考えています。今後はZoomを積極的に紹介していくとともに、業務を効率化するさまざまなソリューションと組み合わせてご提案し、お客様の働き方改革を後押ししていきたいと考えています」(小野寺氏)
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